先週の大鼓の稽古では、鮎之段を習いました。
鮎之段は宝生流には仕舞がありますが、、とはいえかなりマイナーな類の小謡で、滅多に謡わないです。
国栖の一小段で、前半の見どころの一つなっています。謡いは七クサリしかないので短いですが、短い故に囃子の稽古には適しているのでしょう。
手としてはコスカシラトメという手があります。
このトメはコスカシラから続いてヤドメになるという、あまり見たことのない納め方になります。観世流大鼓でも頻繁に打つ手ではなさそうです。
鮎之段は宝生と観世で詞章が違う関係上、間も変わってきます。
宝生「返るや国栖の、占かた は上の句7文字なのでもちろん本間ですが、観世「生き返る、この占方 は上の句5文字なのでヤアの間になっています。
普通コスカシラはヤアの間以上の引き音がある場合に多く用いられるますが、ここにコスカシラを打つのは後者の詞章基準なのかな、と想像します。
鮎之段を通しで稽古をし、次の曲は枕之段に進むことになりました。新しい手として、刻出、ヲロシ、打掛直タタムを習いました。
刻出は他流では付出シと呼ばれる手で、地ノ頭を途中から打つような手です。イメージとしてはカシラ二段を打つような場所で刻出を用いるようです。
付出シは流儀によって三拍(石井)から始まったり四拍(葛野)から始まったりと色々ですが、観世の刻出は三拍からなので、四拍から打つ場合よりも一つ早く心の準備が必要です。
ヲロシはツヅケの後半を打つような手で、カシラの類から地に戻るときに用います。
打掛直タタムは打掛の五拍からすぐにタタムカシラを打つ手で、汎用の手組で、五拍からタタム手を持っているのは珍しいと思います。
枕之段は他にもいくつか新しい手がありますので、次回それらを習って、通し稽古となるかと思います。