紹介、森田流奥義録

我が家の書籍を紹介していきます。大体、能関係の紹介になると思います。給付金の使い途に迷っている方は参考にして頂ければと思います。

まずは森田光風師の名著『森田流奥義録』。この本の優れた点は、森田流笛の技術、思想が体系的にまとまっていることです。本書は『要技類従』の続編にあたりますが、曲の解説自体は『要技類従』の方が詳しいです。本書は『要技類従』に比べると日本古来の祈りの概観把握に序盤の解説を割いており、能の持つ呪術的な要素に裏付けを試みている印象があります。

内容に係わらない点では、比較的小型で可搬性に優れること、ハードカバーなのである程度雑に扱ってもへたれないこと、紙質が良いので書き込みしやすいこと、入手が容易なこと、も見逃せません。入手に関しては、檜書店のオンラインショッピングで購入できます

本書の構成は、舞の解説の部、唱歌の部、その他からなります。

就中、舞の解説が本書の肝で、中之舞などの舞物を網羅的に解説しており、森田流の拘りポイントや、当時忘れられつつある能の精神など、発見が非常に多いです。

唱歌の部は、森田流の規定の唱歌を載せてあります。もともと各家の伝承を大事にしていることもあり、家ごとに唱歌に大きな隔たりが生じていたため、一応の規定を定めたという経緯があります。唱歌の部に関しては、シテ方の先生について舞を習っている方であれば、舞囃子型附集などの唱歌を参考になさる方が便利かも知れません。

その他、森田流の系譜や職分家一覧、名笛一覧などなど。

全体に、内容は比較的高度なため、オススメは以下のような方々でしょうか。

仕舞を習っている方:
何番か舞囃子を習っており、囃子や能の体系的な理解を深めたいと思い始めた方。

囃子を習っている方:
座右の書として末永く使えるので、お早めにどうぞ。

研究者:
森田流笛の思想の一次資料を求める場合、必携。(『要技類従』は簡単には手に入らない!)

能楽部員:
指導的立場であり便利な参考書籍が欲しい、マニアックな蘊蓄を傾けたい、などの動機ある方。

興味を持たれた方は是非入手して頂ければと思います。

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