紹介、能謡100問100答

藤城繼夫 1976 『能謡100問100答〈第1集〉』わんや書店

マニアックな本が多かったので、今回は入門書ポジションの本を紹介。

こちらは能の稽古を始めたばかりの方でも面白く読み進めることができる好著です。

素人の方から寄せられた能楽全般の疑問に対して、識者が回答するという問答形式で、それぞれの話題が1ページで完結します、また新書サイズであるため、取り敢えず鞄に入れておいて、隙間時間に気になるテーマを拾って読む、というタイプの本です。

本書は全3集ありますが、オススメは第1集になります。

第1集は、突飛な話題設定が少なく、知って得する系の絶妙なテーマが多いです。例えば、各流の曲名異同、舞台の方角、揚げ幕の作法、義経はなぜ子方か、などなどです。

第2集以降は重箱の隅をつつく系のテーマも増えます。例えば、縷水衣と絓水衣、命尾派とは何か、水道橋能楽堂鏡板の筆者、寛政版謡本について、肩をトルということ、女時(メドキ)男時(オドキ)、などなど読者の質問が徐々にマニアックになっています。

本書は絶版となっていますが、意外に多くの古本屋の能コーナーで見かけますので、ご興味のある方は是非探してみて下さい。

私も久々に読み返してみると、脱落していた知識が多くあり、好奇心が刺激されます。

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