トリの打ち方を解説していなかったので、紹介いたします。
右手でペシペシ、左手でペシペシの合計4拍です。
第二拍は押さえになります。
打ち方の外観を下に紹介します。下の句のトリの場合は表4.のように文字が対応します。
本地の後半の4拍だけを取り出したイメージです。すると下の句のみを取り出せます。
本地の下の句と文字の対応が同じであることがわかるかと思います。
表5.では「ちりぬるを」を謡ったあと、第四拍に句読点が来るため、字句は本間になります。
表5. トリの打ち方(下の句のトリ)
左手(○●) | 右手(△▲) | ||
1 | ○ | △ | |
ち | |||
2 | り | ▲ | |
ぬ | |||
3 | る | ○ | |
を | |||
4 | ○ | ○ | |
また前回紹介した上の句のトリは表6.のようになります。
本地の始めの4拍だけを取り出したイメージです。こちらも、本地と文字の対応が同じであることがわかるかと思います。
表6. トリの打ち方(本間の上の句のトリ)
左手(○●) | 右手(△▲) | ||
い | |||
1 | | | △ | |
ろ | |||
2 | は | ▲ | |
に | |||
3 | | | ○ | |
ほ | |||
4 | へ | ○ | |
と |
前回、三十一文字の下の句七七を攻略するために、上の句のトリを2つ使うと問題が発生すると述べました。
その理由は表6.の7文字目「と」の位置です。
表5.と比べると「と」が第四拍に納まっていないことが分かります。表6.は字句がヤの間になります。
ところが、上の句のトリは本間でこそ7文字なのですが、ヤの間では6文字になります。(下の句のトリの場合は、ヤの間で5文字です。)
この様に、上の句のトリを使ってしまうと、字句は原理的に本間に派生できないのです。
これは七七を「上の句のトリ」→「上の句のトリ」で解決できないということです。(トリ→トリとせず、トリ→本地としても解決できません。)
これが、前回述べたクリティカルな問題です。
という訳で、新たなテクニックを以て攻略する必要があります。。。(続く)