間の解説は、拍数の議論から始めるのが一般的ですが、敢えて文字数の議論から導入します。本稿では平ノリの本地を前提とします。
まずヤの間から。ヤの間は上の句6文字を処理する場合に用います。
表7.に本間とヤの間を掲げます。 上の句の文字数に着目すると、ヤの間の列では6文字(ろはにほへと)になっているのが分かります。
表.7 地拍子 甲 ヤの間
拍 | 本間 | ヤの間 | 左手(○●) | 右手(△▲) |
い | ||||
1 | │ | 。 | △ | |
ろ | ろ | |||
2 | は | は | ▲ | |
に | に | |||
3 | | | | | △ | |
ほ | ほ | |||
4 | へ | へ | ▲ | |
と | と | |||
5 | | | | | 〇 | |
ち | ち | |||
6 | り | り | ● | |
ぬ | ぬ | |||
7 | る | る | 〇 | |
を | を | |||
8 | 。 | 。 | 〇 |
表7.の様に、実は平ノリであれば、本地は第1拍半から謡い出すと上の句が6文字になります。
そして、第1半間から謡い出すことを、ヤの間で謡い出すと言います。
また引き音の立場から言えば、字句を第1半間から謡い出せるように引き音を調整することを、ヤの間まで引くと言います。
ヤの間まで引く、と表現する場合、引き音は第8半間まで引きます。
これは表7.を見て頂ければ分かりやすいです。 ヤの間では句読点が第1拍にあるため、逆算するとその半拍前の第8半間まで前句を引くべきことが分かります。
(ヤの間は第1半間から謡い出し→ということは句読点は半拍前の第1拍にあるはず→ということは前句は半拍前の第8半間で終わるはず)
平ノリのヤの間の本質は、上の句が6文字である、という点は重要なので覚えておくと便利です。