ヤヲハいろいろ4

平ノリ本地の当ヤヲハで重要なのは羽衣クセアゲハ「君が代は、のような本地全体を用いた5文字のパターンです。

当ヤヲハ5文字のパターンの特徴は、終始感があることです。本地一句に5文字を謡い込むというテクニカルなことをしている割には息に無理がなく、綺麗に第8拍に句読点を取れるので、字句は本間となります。

類型にヤアの間を用いた5文字パターンもあります(このパターンは地拍子上、厳密には数パターンありますが大同小異です)。邯鄲クセ「我が宿の、大江山「げにまこと、のようなものですね。

特徴としては引き音を得やすいという点が挙げられます。反面、当ヤヲハよりもテクニカルな印象を受けやすいです。

敢えてこのヤア5文字のパターンを用いる理由は、詞章の返しを処理しやすいためだと考えられます。

というのも、返しというのは1句目と詞章が同じ筈ですから、必然的に1句目と返の謡い出しの間は同じになる訳です。(ここが重要な点)

当ヤヲハ5文字は本地1つで完結しているのに対して、ヤア5文字パターンで引き音をヤアに取るのは自然であり、1句目も返しもヤアの間で出ることは、上記に矛盾しません。

したがって5文字の連続区を処理するテクニックとして汎用されております。。。と言いたいところですが、実践上は5文字5文字の返しのある詞章は稀であること、謡いのノリが良いのでシチュエーションが限られること、そもそも5文字はヤの間のトリで容易に処理できることなどから、当ヤヲハ5文字よりも数は少ないです。。

さて話を戻して当ヤヲハ5文字ですが、これは本当に登場頻度が高く、一曲に複数回登場することもあります。

何故用例が多いのかというと、能において如何にして和歌を読むか、を探求した結果だと私は考えています。

次回は能における和歌について紹介しようと思います。

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