令和三年澤風会第十五回大会のメモ1、鶴亀

3月7日に澤風会を無事開催させて頂きました。今回は状勢を鑑み、大々的には会の案内をしていなかったのですが、どういう訳か多くの方にお越しくださったようでした。ありがとうございました。

私は当日は能鶴亀のほか、連吟兼平、独調経政、能小督地謡など出演させていただきました。
鶴亀は前日に稽古できたので、精神的にはバッチリだったのですが、楽の初段で拍子がずれてしまいました。
足を掛けている板が凹んで左右の平衡が崩れてしまい、僅かに気を取られた瞬間に唱歌を見失ってしまいました。
初段オロシの唱歌が行方不明になった場合でも、楽や序之舞の場合は大鼓の打放ツ、チョンの粒を聞いてから拍子を踏めば取り返せるのですが、気が付いたら粒も通り過ぎていたので、二拍ずれるような形で拍子を踏み直しました。
ずれてしまったものは取り返せないので、せめて堂々と拍子を踏めればよかったですね。拍子の1発目を躊躇しつつ踏んでしまいました。一番の反省点はここです。
個人的に一番気掛かりだった両袖巻きは成功したので、その点は良かったです。

楽屋では出番前に先生方から色々なお話が聞けたので、良い具合に緊張も解れました。装束を着慣れていないので色々とご迷惑をおかけしたかと思いますが、手際よく対処して頂きありがとうございました。

今回、もともとは狂言口開は無しの可能性もあったのですが、通常通り口開からさせて頂くことになりました。口開けのおかげで、舞台に緊張感が生まれたのが非常に有難かったです。お陰様で真来序のハコビは申し合わせのときよりも位を持って運べました。ありがとうございました。

脇、脇連は位を持って演じて頂き、未熟なシテを引き立てて下さいました。お陰様で掛け合いも力いっぱい謡えました。ありがとうございました。

地謡は特にキリをたっぷり謡って頂いたので、色々感慨深く舞えました。「色々妙なる花の袖~、あたりで、なるほど妙なる花を眺める心なのだな、と納得しました。地謡には澤風会メンバーも大勢入って頂き、緊張感を保てました。ありがとうございました。

鶴と亀の相舞は本番が一番合っていました。申し合わせでは袖を返すのに苦労していたようですが、それからしっかり稽古したようです。
「帝も御感の~、での下ニ居の位置取りも完璧で、良い位置に着いてくれたのが台を下りる前に見えたので、楽の二段オロシで安心して大きく下がれました。ありがとうございます。

囃子方は、真来序~キリまで位を持って演奏して頂きました。囃子にも存分に引き立てられて、皇帝の位で舞えました。誠にありがとうございました。

振り返って、鶴亀という能は中々難しい曲なのだな、と改めて感じました。今後、後輩に稽古をつけるときには、この経験を存分んに活かして、稽古をつけたいと思います。

また今回、有難くも教授嘱託の免状を賜ることとなり、嘱託披露としての能でもありました、厳しい時期にこのような機会を頂けたことは忘れがたい思い出となるでしょう。

今後も一層の稽古に励み、微力ながら宝生流に貢献できればとの所存です。

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