間の解説は、拍数の議論から始めるのが一般的ですが、敢えて文字数の議論から導入します。
本稿では平ノリの本地を前提とします。
ヤアの間は上の句が5文字の場合の処理に用います。
表.9に本間とヤアの間を掲げます。
上の句の文字数に着目すると、ヤアの間の列では5文字(はにほへと)になっているのが分かります。
拍 | 本間 | ヤアの間 | 左手(○●) | 右手(△▲) |
い | ||||
1 | │ | △ | ||
ろ | 。 | |||
2 | は | は | ▲ | |
に | に | |||
3 | | | | | △ | |
ほ | ほ | |||
4 | へ | へ | ▲ | |
と | と | |||
5 | | | | | 〇 | |
ち | ち | |||
6 | り | り | ● | |
ぬ | ぬ | |||
7 | る | る | 〇 | |
を | を | |||
8 | 。 | 。 | 〇 |
表.9の様に、実は平ノリであれば、本地は第2拍から謡い出すと上の句が自動的に5文字になります。
第2拍から謡い出すことを、ヤアの間で謡い出すと言います。
引き音の立場から言えば、字句を第2拍から謡い出せるように引き音を調整することを、ヤアの間まで引くと言います。
言い換えると、ヤアの間まで引くと表現する場合、引き音は第1拍まで引くということです。
これは表.9を見て頂ければ分かりやすいです。
ヤアの間では句読点が第1半間にあるため、逆算するとその半拍前の第1拍まで前句を引くべきことが分かります。
(ヤアの間は第2拍から謡い出し→ということは句読点は半拍前の第1半間にあるはず→ということは前句は半拍前の第1拍で終わるはず)
平ノリのヤアの間の本質は、上の句が5文字である、という点は重要なので覚えておくと便利です。