間の解説は拍数の議論から始めるのが一般的ですが 敢えて文字数の議論から導入します
本稿では平ノリの本地を前提とします
平ノリ本地のヤアの間は上の句が5文字の場合の処理に用います
表.10に乙形式の本間とヤアの間を掲げます
上の句の文字数に着目すると ヤアの間の列では5文字(はにほへと)になっているのが分かります
拍 | 本間 | ヤアの間 | 左手(○●) | 右手(△▲) |
い | ||||
1 | │ | △ | ||
ろ | ○ | |||
2 | は | は | ▲ | |
| | | | |||
3 | に | に | △ | |
ほ | ほ | |||
4 | へ | へ | ▲ | |
| | | | |||
5 | と | と | 〇 | |
ち | ち | |||
6 | り | り | ● | |
ぬ | ぬ | |||
7 | る | る | 〇 | |
を | を | |||
8 | ○ | ○ | 〇 |
表.10の様に 実は平ノリであれば 本地は第2拍から謡い出すと上の句が自動的に5文字になります
第2拍から謡い出すことを ヤアの間で謡い出すと言います
引き音の立場から言えば 字句を第2拍から謡い出せるように引き音を調整することを ヤアの間まで引くと言います
ヤアの間まで引くとは 言い換えると表 引き音を第1拍まで引くということです
これは表.10を見れば明らかです
ヤアの間では句読点が第1半間にあるため 逆算するとその半拍前の第1拍まで前句を引くべきことが分かります
(ヤアの間は第2拍から謡い出し→ということは句読点は半拍前の第1半間にあるはず→ということは前句は半拍前の第1拍で終わるはず)
技術的な便利の観点から言えば 拍との対応を抑えることが重要です
拍との対応関係は平ノリ大ノリ等を問わず通用しますし トリ地 片地などでも通用します
押し進めて 平ノリ本地のヤアの間は 上の句が5文字である という点は本質的なのでぜひ覚えて頂きたいです
(この例に当たらないこともありますが それは例外として認識すればよいです)