連休最終日の昨日は先輩OB、後輩OG、私の3人で午前を使って自主稽古しました。
秋の社中会で連吟を予定している岩船を素謡で謡い、続いて各々の仕舞を一通り稽古しました。
私は次の仕舞を習っていないので、何気なく選んだ大江山の仕舞を舞いました。その講評にて「雲折り敷きてそのまま、のサシワケについて議論となりました。
一般にサシワケは、左にてサシ、右にてサシの所作が基本形です。
(1)サシワケながら下る場合(サシワケ乍ユルメ)
(2)サシワケながら出る場合(左ニテサシ出、右ニテサシ出)
と大別され、ハコビの歩数は様々です。その場で留まってサシワケというパターンは稀だと思います、床几に掛けているなど、移動が制限される場合でしょうか。
左右をサス性質上、空間的な左右方向を表現する場合に汎用的に用いられます。玉之段「左右へばつとぞ、などが好例です。また広義には、空間に限定されない指示対象AとBとの対比に用いることもあります。英語的に表現すると、A or Bのイメージです。
対比のサシワケ(勝手に命名)は、仕舞では
鵜飼「二つもなく/三つもなく、
花月「愛宕の山の太郎坊/比良の峰の次郎坊、
天鼓「水は南/星は北、
三山「雪と散れ桜子/雲となれ桜子、
などは好例です。詞章に対句形式が多いのは、対比のサシワケの典型です。
上記、対比のサシワケの考え方を大江山に適用すると、「雲折り敷きて、のサシワケは、対句となっている直前の「ただよふか/いざよふか、を意味する可能性が示唆されます。あるいは詞章が離れている点で典型から外れますが「雲~/海~と対比しているのかも知れません。稽古後の鼎談では答えは出ませんでした。。。
対比のサシワケをもう一つ考察すると、、、鞍馬天狗「源平藤橘四家にもとりわき、の辺りのサシワケはどのように考えられるでしょうか。源/平/藤/橘と、複数の対比の可能性はないでしょうか。そう考えると、鵜飼は「二つもなく/三つもなく/唯一、と三者の対比と捉えられかも知れません。私は仕舞しか知りませんが、能の演り方ではいろいろと違うのかも知れません、今後も考察を続けます。
鞍馬天狗は「源平藤橘四家~/彼の家~、の対比かも知れませんね。