selective focus photography of white flowers

大と中のあいだは平

本地8拍の中で何文字謡えるのか?を考えてみます。典型的なノリである大ノリ、中ノリ、平ノリを見てみましょう。

一番簡単なのは大ノリで、これは原則として8文字謡います。鞍馬天狗「抑も武略の〜、が典型です。

実際は句読点や三引き、ハシリの影響で文字数は変わりますが、原則は8文字です。

大ノリは1拍1文字なので、8文字なのは当然と言えば当然です。

次に中ノリを見てみると、これは原則16文字です。田村キリ「光を放つて虚空に飛行し、が典型です。

中ノリも原則以外の謡はたくさんありますが、原則は16文字です。

16文字というのは、8拍に含まれる表の間(=拍)と裏の間(=程)を全て使っているということですね。(8拍×2=16音)

次に平ノリを考えてみます。平ノリの原則的な文字数はピンとこないかも知れませんが、実は12文字が原則です。

これは七五調が本地に納まることから、7文字+5文字で12文字という訳です。

次に、面白い思考実験をします。
本地に何文字入るかではなく、2拍打つ間に何文字謡えるかを考えるのです。

2拍の中で、大ノリは2文字、中ノリは4文字が入るのは、上記の議論から問題ないと思います。

そして2文字、4文字と来ると、その中間の「2拍で3文字謡えるノリ」はないだろうか?と考えたくなりますよね。

ここで、2拍を8拍(つまりは本地)に拡張します。8拍=2拍×4なので、2拍の中に入る文字数を4倍します。

すると8拍の中に納まる文字数は、大ノリ8文字、中ノリ16文字。そして「2拍で3文字謡えるノリ」は12文字になります。

上で、8拍の中に12文字入るのが平ノリと説明しました。ということは「2拍で3文字謡えるノリ」の正体は平ノリであることがわかります。

この結果は、解釈によっては大ノリと中ノリの中間のノリが平ノリであるとも見えます。

平ノリを小ノリと呼ぶこともあるのですが、実際は文字通りに大→中→小ではなく、大→小→中あるいは大→平→中が合理的ですよ、という紹介でした。

2拍単位での議論はミクロな地拍子理論を考察する上で有用なので、またどこかで引用すると思われます。

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