令和元年澤風会第十四回大会のメモ2、頼政

連吟2つ目は、頼政の地に参加。澤風会の東西各大会では毎年、ベテランメンバーの連吟があり、京都では隔年程度で参加させて頂きます。頼政は、謡を覚えるのに、久々に苦戦しました。普段謡う曲ではないと覚えが非常に悪いです。ただ、節やノリが特徴的なため、一度覚えてしまえば、次に謡うときにも思い出し易そうです。

一声で登場し、シテワキ掛け合いの後、地謡となりスグにクリとなる複式夢幻能の典型通りに展開。今回の範囲はワキ「不思議やな法体の身にて、よりキリまでなので、掛け合いの直前からでした。
頼政のクリはシテ謡のあと、地謡が引き受けますので、定型であれば本ユリのあるところ(地謡で謡納める場合は本ユリ、役謡は半ユリ)、本曲では打上に良く用いられる廻シを重ねた節となり、他曲では見られない珍しいパターンです。実演上は、クリを締めずに謡い納めて、サラリとサシを謡い出したいという意味で本ユリではないようです。
他流では金春、金剛は普通に本ユリ、観世、喜多ではシテ謡となるので半ユリとなり、宝生以外の流儀ではクリの定型に扱っています。
サシ以降は平家物語の橋合戦となり、臨場感のある謡が続きます。仕方話につき地謡も緩急抑揚をつけて謡って行きます。地頭は大ベテランでしたので、謡っていて非常に勉強になりました。全体にしっかり目の位で謡い、なかなか聴き応えのある連吟だったのではと思います。

この曲では4回瞬きをしたのですが、今回は役謡の中で目を閉じるように心がけました。地謡が謡っていないタイミングであれば、瞬きをしても見所から気にならない(気づかない)のではないか、との考えですが、役に注目が集まっているときに、地謡が動くことで見所の集中が途切れる、という考え方もできそうです。タイミングは再考の余地あり、目を閉じるのも、ゆっくり閉じた方が良いのかも知れない、など色々研究できそうです。

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