間の解説は拍数の議論から始めるのが一般的ですが 敢えて文字数の議論から導入します
本稿では平ノリの本地を前提とします
平ノリ本地のヤヲハの間は上の句が3文字の場合の処理に用います
表.14に乙形式の本間とヤヲハの間を掲げます
宝生流のモチ方になります
拍 | 本間 | ヤヲハの間 | 左手(○●) | 右手(△▲) |
い | ||||
1 | │ | △ | ||
ろ | ||||
2 | は | ▲ | ||
に | ||||
3 | | | ○ | △ | |
ほ | ほ | |||
4 | へ | へ | ▲ | |
と | と | |||
5 | | | | | 〇 | |
ち | ち | |||
6 | り | り | ● | |
ぬ | ぬ | |||
7 | る | る | 〇 | |
を | を | |||
8 | ○ | ○ | 〇 |
上の句の文字数に着目すると ヤヲハの間の列では3文字(ほへと)になっているのが分かります。
表.14の様に 平ノリの場合 本地は第3拍半間から謡い出すと上の句が自動的に3文字になります
第3拍半間から謡い出すことを ヤヲハの間で謡い出すと言います
引き音の立場から言えば 字句を第3拍半間から謡い出せるように引き音を調整することを ヤヲハの間まで引くと言います
ヤヲハの間まで引くとは 言い換えると 引き音を第2拍半間まで引くということです
これは表.13を見れば明らかです
ヤヲの間では句読点が第3拍にあるため 逆算するとその半拍前の第2拍半間まで前句を引くべきことが分かります
(ヤヲハの間は第3拍半間から謡い出し→ということは句読点は半拍前の第3拍にあるはず→ということは前句は半拍前の第2拍半間で終わるはず)
技術的な便利の観点から言えば 拍との対応を押さえることが重要です
押し進めて 平ノリ本地のヤヲハの間は 上の句が3文字である という点は本質的なのでぜひ覚えて頂きたいです
(この例に当たらないこともありますが それは例外として認識すればよいです)